エンジンオイルに求められるもの


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どんな機能(性能)が必要とされている?

ボンネットを開けたことはあっても、エンジンオイルの交換をしたことのない方や、 それよりそもそもエンジンオイルをどこへ入れたら良いのかが判らない方も 意外と多いのかも知れません。

 かくいう私も、環境商材としての『エンジンオイル』の添加剤の営業を手掛けるまでは、 特にエンジンの構造を学んだ訳でもありませんし (化学は昔、齧ったこともありましたが… )、 車がガソリンを燃やして動いている、FF車はエンジンが前に付いていて、ラジエータはエンジンを冷やすためにあって、 バッテリーはライトを点けっぱなしにすると上がってしまう程度の一般知識しかありませんでした。

 そこから、「車はどうやって走っているのか」という初歩の初歩から勉強をはじめ、 エンジンの構造、燃料について、そしてオイルの種類と温度環境による粘度の変化などについてを、 工学的な資料や、あるいは各メーカーからの資料などを読み重ねながら、 判断材料の基となる必要な知識を蓄積していきました。

その過程で得られた知識と、昔、身体に覚えこませたハズの科学的なものの考え方とで、 『エンジンオイル』について少しでもわかりやすく紹介できたらと思います。

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 エンジンオイルに求められている要素は、まず、シリンダーと高速で運動を続けるピストンの間での『潤滑性能』です。 必要とされる「極圧性能」・「吸着性能」(この場合は、どれだけ金属表面にくっついていられるか、 またどれだけの荷重に耐える必要があるか)を見極めながら相応しいオイルを探っていくことになります。

 ただし、通常の潤滑との一番の違いは、燃焼部分に近い、オイルにとっての高温下での使用であるということ。 「動粘度」という概念については、いずれ説明しますが、(エンジンオイルには、必ず10w-40とか0w-40などといった表記がされていて、 この後ろ側の数字が「動粘度」を指しています)一口で言ってしまえば、高温下での「粘性」を表すもので、 実際にはどのくらいの温度域をメインにエンジンを働かせるのか? を考えながら、用途や乗り方にあったオイルを選択していくことになります。

 メインの使用温度域が高い場合、つまり高速での走行が多かったり、車重や積載が重かったり、 長時間休みなく負担を掛けるようなドライビングが日常であったりする場合や、あるいは最初からエンジンの設計温度が高いような場合は、 エンジンの特性を考えながら「動粘度」の少し高いものを用いるのが相応しい選択ともいえるでしょう。

 次に求められる性能は、エンジンの心臓部分でもある「燃焼部」を「密封」する働きです。 ですが、これも単に「密封性」を確保するために、「吸着性」や「粘度」の高いものを選べばよいという訳ではありません。 上手に密封させるためには、粒子の細かさや、オイルの中に含まれる各種成分の比重などにも注意しておく必要があると思います。

 もうひとつは、エンジンのスタート制動にも関わってくる、 常温や低温下(特に冬場の寒冷地などの場合)でオイルをスムースに働かせるための『流動性』と『使用温度域』の幅です。 これには、上に「動粘度」のところで書いた粘度指数のwの前の数字そのものと、 後ろの数字との差のふたつで大まかには判断できます。

単純に言うと、最初の数字が0に近いほど、低い温度(各社ほぼ-30℃を想定)への対応力があり、 数字の差が大きいほど、『使用可能温度域』が広いということになります。 もちろん『使用可能温度域』が広ければ広いほど、値段もそれなりに高くなってきます。

【まとめ】
《エンジンオイルに必要な機能(性能)》

  • ピストン-シリンダー部に求められる高い『潤滑性能』
  • 高温下での働きを確保する『動粘度』
  • エンジンの燃焼部を密封するための『吸着性』と『粘度』
  • スタートの制動に関わる『流動性』と『使用温度域』

の4つが挙げられます。

ただし、『エンジンオイル』を選択する際には、それぞれについて、エンジンの特性や普段の車の使用方などを考慮に入れた上で、 個々の車に相応しいものを見つけていく必要があります。ここは「絶対」。

つまり、同じ車種だからと同一のオイルを選択するのは、経済的にも、そして環境的な観点からも、 ベストなチョイスとは思えません。もちろん、メーカーの指定するオイルがいくつかあるにせよ、その中で、 使用している気候風土や、ドライビングの癖などに合わせ適切な判断をしていくべきだと思います。

『エンジンオイル』はエンジンに何をしているか

 極論をいえば、『エンジンオイル』がなくても、エンジンは動くものです。

ただ、エンジン自体の寿命がとても短くなることは明らかでしょうし、高温高速条件下での作動など、 状況によっては、一度使っただけで、もう使えなくなってしまうことも十分考えられることです。

 しかし、それぞれのエンジンに相応しい『エンジンオイル』を用いることで、

  • ピストン-シリンダー部分の動きを滑らかにし、
  • クランクの滑らかな動きで力をスムースに回転力へ変換し、
  • ピストンとシリンダーの傷・削れ・摩耗を防ぎ、
  • 無駄な熱発生を抑え、同時に、発生する熱をオイルで吸収し逃がしながら、
  • 燃焼部の密封性を高めることで、効率良い燃費を生み出し
  • 生成される汚れや摩耗した金属粉などの不要物をエンジンの外に排出し
  • エンジンの性能を高く引き出し、長持ちさせる

 たった一種類の『エンジンオイル』で、これらのすべてをまかなうことになります。

 すごいですよねぇ。


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