「ま のすけの環境時々刻々」


ま のすけの環境時々刻々

俳句の季語に「霾る(つちふる)」というものがあります。
晩春から初夏にかけ、偏西風に乗り黄砂が降ってくることを指すものです。
黄砂の元は中国内陸部のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠、黄砂流域の土などです。

 

砂漠ができる原因として、次の地勢的要因と気象的要因とが挙げられます。
 ●大陸の内部で海から遠く乾燥した空気のみが到達する
 ●風が強く近隣地域の砂が運ばれてくる
 ●乾燥した気候に在って、何度か降る大雨で植物育成に必要な養土が流出する
 ●昼夜の寒暖差が大きく、生物(植物)の生育に適さない
 ●寒冷地域で植物の生育が遅い上に常に乾燥している

 

従って、オーストラリアの内陸にも、アフリカ大陸の内陸にも中国同様に
砂漠が見られます。
もちろん北米だって同様です。砂漠といえば、暑い地域に多いように
感じられるのですが、実際は、赤道付近では、蒸発した水分はそのまま
その地域に雨として落ちてくるので、砂漠にはなりにくいです。
むしろ、その雨を失った熱い空気だけが降りてくる熱帯雨林帯の外側に、
多く砂漠が出現します。

 

さらに近年は、上記の自然的要因に加え、以下に見られるような
人為的要件による砂漠の出現も大きく伸長してきています。
 ●大規模な治水や利水事業により、水の流れが失われたケース
 ●肉食の増加に応える家畜の増加により、植物の生育に必要な水資源の確保が
  できなくなったり、放牧等で植物自体を失ってしまったケース
 ●エネルギー目的での樹木の過度な伐採によるケース
などです。

 

特に中国では、万里の長城を築くレンガを焼くために多くの樹木を
伐採したという歴史的背景も、初期の砂漠化の要因となっていると
聞いています。

 

モンゴルや内モンゴルでは、定住化による人口増加⇛宅地開発⇛都市化
⇛食料調達の過度な負担⇛家畜の増加⇛草原植物の喪失
という循環に陥っているため、現在でも、とても速い速度での砂漠化が
進行しています。

 

中国では現在、首都である北京郊外まで砂漠化が進行しています。
揚子江を越えた南方地域から水を運ぶ「南水北調」の東線および
中央線の治水工事を2002年末頃より着工し、昨(2016)年12月までに
中央線のほぼ全体、東線のかなりの部分が完成を見ていますが、
高いコストをかけた水を砂漠に撒く訳にはいかず、砂漠化への具体的
対応は遅れ遅れのままの状態。
西安や上海への遷都も取りざたされているようです。

 

次回は「砂漠化防止の取り組み」についていくつかの事例を挙げてみます。

文責 T.ま のすけ


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